契約書・契約トラブル

不動産賃貸借契約とは

不動産賃貸借契約とは、賃貸人(オーナー)が自己の所有する建物や土地を賃借人に使用・収益させ、その対価として賃料を受け取る契約をいいます。民法第601条以下及びその特別法である借地借家法に規定されており、居住用・事業用を問わず非常に広く利用される契約形態です。

不動産賃貸借契約は、シンプルにいえば「部屋を借りる」「土地を貸す」という内容です。もっとも、実際には契約期間、解約、修繕、利用制限、敷金・保証金、更新など多岐にわたる条件が契約書に盛り込まれます。特に不動産は高額な財産であり、トラブルが生じれば多大な損害や訴訟リスクに発展することも少なくありません。

そのため、賃貸借契約書は「形式的に署名・捺印すればよいもの」ではなく、実際にその後の利用や収益に直結する重要な法律文書であることを理解しておく必要があります。

雛形をそのまま使うのは危険!?賃貸借契約書のチェックポイント

インターネット上や書籍に賃貸借契約書の「雛形」が数多く存在します。確かに参考資料として有用ではありますが、雛形をそのまま流用すると、個々の物件や取引実態に合わない条項が含まれていたり、賃借人に著しく不利な内容が潜んでいたりするケースがあります。

ここでは、契約書のチェックで特に注意すべきポイントを整理します。

違約金

賃借人が契約に違反した場合に支払う「違約金」条項は、民法90条の公序良俗に抵触する場合があります。例えば「解約時には残存期間の賃料全額を違約金として支払う」といった規定は、残存期間が長いと裁判所で無効と判断される可能性がでてきます。
違約金条項を設ける際には、実際の損害と合理的に見合う範囲に抑えることが必要です。

中途解約のルール

契約期間中に賃借人が中途解約できるかどうかは大きな問題です。居住用であれば一定期間経過後の中途解約を認める条項は多くみられますが、事業用の場合は厳格になてきます。貸主にとって代わりを見つけにくいからです。契約書で中途解約の可否、条件、違約金の有無を明確に定めておくことが重要です。

利用目的違反

「住居専用」と定められた物件を事務所や店舗として利用するのは契約違反となります。消防法や建築基準法などの規制に抵触する場合もあり、契約解除・損害賠償に発展するリスクがあります。契約書で利用目的を明確に限定し、違反時の対応(解除や違約金)も定めておくべきです。
なお、よくある相談ですが、ペット禁止条項のある部屋でペットを飼うと違反になります。

増改築に関するルール

賃借人が内装工事や設備改修を行う際のルールも重要です。事前承諾の要否、工事費用負担、原状回復義務の範囲などを明確にしていないと、退去時に「元に戻せ」「戻さなくてよい」といった紛争が生じます。特に事業用物件では増改築が避けられないため、契約書で具体的に取り決める必要があります。
なお、当事者の合意により造作等を残した状態(いわゆる居抜き)で明け渡しとなる場合はあります。しかし、多くの場合、契約書上は原状回復を要するとされているため、居抜きで退去できるのは貸主の好意によるものとなります。

敷金

敷金の性質は、契約終了後に未払賃料や原状回復費用に充当される担保金です。民法622条の2に規定され、返還範囲が整理されています。トラブルとなりやすいのは「原状回復費用」との関係です。国土交通省のガイドラインに反して過大な請求をするケースは多く争いが頻発しています。賃借人からすれば、契約書に「通常損耗や経年劣化は貸主負担」と明記しておくことが望ましいでしょう。また、最初から設置されていたエアコンなども後々撤去費用負担者が問題になりえますので、細かくても処分を要するのか否かを契約時に定めておく方がよいでしょう。

解約通知期日

「解約する場合は〇か月前までに通知」といった条項も必ず確認すべきです。住居用では1か月前、事業用では3~6か月前とする例が多いですが、これが不当に長いと賃借人の不利益となります。実際の利用目的や賃料水準に応じ、合理的な期間を設定すべきです。

更新料

関西地方では更新料の慣行が少ないですが、首都圏では依然として一般的です。最高裁判例により、更新料は「対価性があり、金額が社会通念上相当であれば有効」とされています。契約書に「更新料あり」と記載があれば支払義務を負うため、金額や支払方法を必ず確認する必要があります。

定期借地・定期建物賃貸借契約

一定期間経過をもって賃貸借契約が終了し、契約の更新のない定期借地・定期建物賃貸借契約があります。こちらについては借地人等保護の観点から借地借家法上特別な規定が設けられています。定期でない契約を定期にされてしまったとか、定期であったのに期間を過ぎて貸してしまったといったケースの相談がしばしばあります。これらも契約を巡るトラブルといえます。

当事務所がサポートできること

不動産賃貸借契約は、単なる形式文書ではなく、今後数年から十数年にわたる権利関係・金銭関係を規律する重要な契約です。トラブルは契約書の不備や曖昧さから生じることが多く、「契約書の段階で弁護士にチェックを依頼しておけば防げた」というケースが少なくありません。

当事務所では、以下のようなサポートを行っています。

弁護士が関与することで、将来の紛争リスクを軽減することが可能です。特に不動産取引は金額が大きく、ひとたび紛争になれば数百万円から数千万円単位の損害につながります。契約書の段階から適切なリーガルサポートを受けることが、最終的には依頼者の利益を最大化する近道です。

まとめ

不動産賃貸借契約は、日常生活や事業活動の基盤を形作る重要な契約です。しかし「雛形をそのまま使う」「内容をよく理解せず署名する」といった対応は、大きなリスクを伴います。違約金、中途解約、利用目的違反、増改築、敷金、解約通知期日、更新料など、契約書には多くの落とし穴が潜んでいます。

当事務所では、契約書のチェックからトラブル発生時の対応まで、幅広いサポートを提供しています。賃貸借契約に関して不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

ご予約はこちらから

06-6809-3033
9:00〜18:00

メールでのお問い合わせ